カニンガムの法則とは「インターネット上で正しい答えを得る最良の方法は質問することではなく、間違った答えを投稿することである。」というもの。
「Wiki」の発明者である、ウォード・カニンガム(Ward Cunningham)にちなむもので、スティーブン・マクギーディ(Steven McGeady)が提唱したというのが通説となっているようです。
Wiki(ウィキ)とは、いわゆる「まとめサイト」の作成に使われるサービスで、サイトの閲覧者の誰もが情報を自由に編集できる仕組みになっています。まとめサイト以外ではゲームの攻略情報サイトなどでもよく使われているので、誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?ウィキペディアなんかもそうですね。
こういったサイトは、間違った情報が投稿されると、即座に(といえば言い過ぎかもしれませんが)正しい情報に訂正されます。間違った情報を見つけると、訂正したくなる人の心理を利用したサービスと言えるでしょう。
ちなみにウィキペディアは、この法則を採用した最も有名な例だと言われています。
カニンガムの法則の実践例
例えば、あるスマホアプリの機能について知りたい時、「〇〇で××する方法を教えて」と投稿するよりも、「〇〇って××が出来ないから全然使えないダメアプリ、すぐ消した」と投稿するのです。
その際、間違った情報を自信満々に若干煽り気味で書くのがポイント。
前者のストレートな質問では、無視される事のほうが多いのですが、後者の投稿の方は、反射的に「△△すれば出来るけど?」みたいな感じで答えを貰うことができます。
正しい情報を知っている人からすれば、後者の投稿内容は「間違った情報」になるので、心理的に訂正せずにはいられなくなり、つい反応してしまうといったところでしょうか。
このように、敢えて間違った情報を投稿して、誰かに訂正して貰うことで正しい情報を得る、これが「カニンガムの法則」と呼ばれるものです。
カニンガムの法則の問題点
この法則は、答えを貰う側にしてみれば、大変便利な物ではあるのですが、回答(訂正)する側には、少々厄介な存在であったりするのです。
経験がある人もいるかもしれませんが、間違った情報を発信する人というのは、正しい情報を知っている人にとってはそこそこなストレスになります。
上に挙げた実践例の「〇〇って××が出来ないから全然使えないダメアプリ、すぐ消した」の場合ですが、こんなことを言われたらそのアプリの愛用者は何となくモヤモヤして、つい反論したくなってしまうのではないでしょうか?
いちいち相手にせずに無視すればいいのでは?と思われるかもしれませんが、間違った情報というのは思わず訂正したくなるものです。だからこそ、この法則が法則として成立しているのです。
カニンガムの法則の利用した投稿は(投稿内容にもよりますが)一種の煽りや挑発、釣りと取られかねません。間違った情報で知識を持った人を煽ってストレスを与え、回答を心理的に半ば強制させるようなものだからです。(もちろん中には本当に親切心で答えてくれる人もいますが)
また、間違った情報を投稿するという性質上、誰にも訂正されなかった情報は、どこかに転載されて間違ったまま拡散される恐れや、場合によっては、投稿者自身が荒らし行為として非難される可能性もあります。