
以前の記事でも少し紹介した、マザーボードの排他仕様について解説します。
私もそうでしたが、この仕様を知らないとパーツの故障と勘違いして泥沼にはまる可能性があるので、頭の隅に置いておくとその後の対応がスムーズになります。
マザーボードの排他仕様とは?
マザーボードの排他仕様とは、特定のスロットや機能が同時に使用できない制約のことを指します。
これは、限られたレーン数やハードウェアリソースを効率的に使うための設計上の制約であり、特にM.2スロット、SATAポート、PCIeスロット、USBスロットなどでよく見られます。
詳細は各マザーボードのマニュアルを確認してください。ここでは一例を紹介します。
排他仕様が発生する主なケース
M.2スロットとSATAポートの排他
M.2 SSDを使用すると、特定のSATAポートが無効になることがあります。
例えば、
- M.2スロットにNVMe SSDを挿すとSATAポートの一部が使えなくなる
ASUSのマザーボードでは、「M.2_1スロットにSATA接続のSSDを取り付けると、SATA_2ポートが無効になる」などの仕様があることが多いです。
PCIeスロットとM.2スロットの排他
PCIeスロットとM.2スロットが同じPCIeレーンを共有している場合、どちらか一方しか使用できません。
- M.2スロットを使用すると、特定のPCIeスロットが無効になる
ASRockの一部のマザーボードでは、「PCIe x4スロットに拡張カードを挿すと、M.2スロットの帯域が制限される」ことがあります。
PCIeスロット同士の帯域制限
グラフィックボードなどを挿すPCIeスロットのレーン数が変化することがあります。
- 特定のPCIeスロットにカードを挿すと、別のスロットの帯域が制限される
Intel Z790チップセットでは、「PCIe x16スロットに2枚目のカードを挿すと、x8/x8動作になる」などの仕様があります。
このあたりはややこしいので「PCIeスロットに複数のパーツを接続する際は、何か影響があるかも」という風に覚えておけば良いと思います。詳細はマニュアルで確認。
将来的に排他仕様は解消される?
可能性はありますが、完全解消は難しいと考えられます。
現実問題として、
- マザーボードの設計上、全スロットを同時にフル帯域で動かすのは難しい
- コストが高くなり、エントリークラスのマザーボードでは排他仕様が残り続ける
などの理由があります。
まとめ
- 排他仕様は、PCIeレーンやSATAポートのリソースを節約するための設計
- M.2スロットとSATA、PCIeスロット同士の競合が多い
- マザーボードのマニュアルを読んで事前にチェックするのが大事
- 将来的にCPUやチップセットの進化でさらに改善される可能性はある
- ただし、物理的・コスト的な制約があるため、完全解消は難しい